ども梶田檸檬です。
むかしむかし、まだ時代が昭和だった頃、梶田が20歳の大学生だった頃のお話です。
京都の繁華街四条通りの大丸百貨店の前には「アンケート調査」と言って通行人に話しかけてくる、ちょっと気味の悪い人たちがいました。
その正体はというとあの統●教会の人たちです。
サタンがいると言って恐怖心を煽り、壺や印鑑を売ったりする、今また話題になってるあの団体です。
「アンケートにご協力ください」て話しかけてきますが、その正体がかなりヤバい宗教団体だということは既に知っていました。
普段は無視して通り過ぎるんですが、なぜかこの日はちょっと立ち止まって話を聞いてしまいました。
梶田に話しかけてきたのは、それはもう本当に地味で陰キャな女子でした。
オタク腐女子とも違う、いじめられっ子でもない、どちらかというと自分の意思とか考えを持っていない、クラスに友だちが1人もいなさそうな感じの子です。
オドオドしながらしゃべる声がすごく小さくて、アンケート内容がなかなか聞き取れず、思わず顔を近づけてしまいました。
質問は年齢は?とか、お仕事は学生さんですか?といったありきたりな内容から始まって、そのうち「人生において将来に希望のようなものがありますか?」
とだんだん核心に入っていきます。
真面目に答えてたらワラワラと仲間が寄ってきて、いつのまにか周りを囲まれていました。
当時の四条通りの歩道は狭く、はっきり言って通行の邪魔ですが、この人たちにとってそんなことはお構いなしです。
そして
「世の中や人生に、矛盾を感じたことがありませんか?」
「それらを解決できる真理があるとしたら知ってみたくないですか?」
となりました。
真理?
そんなもんには全く興味ありません(きっぱり)
でも何がこの人たちをそうさせるのかには興味がありました。
「時間はどれぐらいかかるの?」ときくと
「5分か10分ぐらいです」※大嘘です
「じゃ、まあいいか」
とついていきました。
案内されたのは小さなビルの2階。
そこには既に10人以上、勧誘された人が来ていました。
ビルに入るといきなり、またアンケートと称して自宅の電話番号とバイト先の店の電話番号を書かされました。
「なるほど。こうやって絡め取っていくんやな」
もちろん嘘の名前と電話番号を書きました。
あ、そうそう、偽名を名乗るときのコツですが
名前の一文字目は本名の字をそのまま使うといいです。
例えば本名が中村だとしたら、偽名は中山とか中島にするのです。
何故かというと偽名を書くとき、慣れないうちはつい本名を書き始めるという失敗をするんです。
たいてい最初の1画目で「あ……」となります。
そこでリカバリーができるように一文字目だけは本名そのままにするのがコツなのです。
パーティーションで区切られたブースに座り、見せられたビデオの内容はこんな感じです。
ステージの上から、幹部クラスのおっさんが出てきて
「この宇宙には”真理”というものがあります」
「この真理というのは一言、たったの一言で言えることなんです」
「『それは何ですか』って思うでしょ?でもそのたった一言を説明するのにはものすごい時間がかかるわけなんですよ」
確かこんな内容でした。
この同じ話を繰り返し繰り返し。
尺を稼ぐだけ稼いで
で、結局答えも何も言わないまま30分のビデオが終わるわけですw
ん、既に30分?
おいおい、ここに来る前は10分ぐらいとか言ってたのに。
ビデオを見た後、紅茶とお茶菓子を出され、そしてちょっと優しそうな(でも胡散臭い)感じのおばさんが出てきました。
「どうです?ビデオを見られた感想は?素晴らしかったでしょ〜」と1人で語り出し
「今度研修があるんですよ。参加してください、是非とも」
「入会金も今ならたったの3000円でいいんです」
と何故かすでに入会が規定事実とされています。
「じゃあ今3000円払ってください」
え、3000円!?
冗談ではない、3000円などと簡単にいうな。
20歳そこそこの学生にとって3000円は大金だぞ!(しかも昭和時代の話だぞ)
そしてこの時梶田の財布には3000円+小銭しか入ってなかったのだ。
恐るべし統●教会。
ああ、こんなことならさっき紅茶とお菓子を食べなきゃよかった。
だめだ、このおばさんには勝てそうにない。
しょうがないので横にいた彼女を攻める……いや助けを求めることにしたw
「お金貸して」
「え……」と固まる彼女。
「10分て言ったよね」「もう1時間以上かかってるんだけど」「バイト行けなくなった」
「オレお金がないって言ってたよね」
畳みかけるように言った。
おばさんも少し呆れてる。
そして
「じゃあ払うから家まで取りに来て」
と言った。するとおばさんが
「〇〇さん、ついていってあげなさい」
と、すこしきつい感じで言った。
彼女はしょうがなくうなづいた。
どうやら上の人の命令には逆らえないように教育、いや洗脳されているらしい。
多分このおばさんは、ワイの自宅を押さえてしまえばあとはどうにでもなると思ったんだろう。
でもゴメンなさい。さっき入口で書いた名前も電話番号も全部嘘です。
ビルを出て四条通りに出ると、お金あまり持ってないのにタクシーに乗りました。
行った先は ラブホ「きいろいクジラ」
今はもうありませんが、昭和の頃は京都市内では安くて学生御用達で有名なラブホでした。
なお裏の通りからだと、ちょっと普通のマンションぽい入口なんです。
京都市内のラブホは昔からわりとそうです。
「あ、ここだから」
といって手を引っ張って半ば強引に中に入っちゃいましたw
本当に自分の意思の無い子なんですね。
わけもわからずボーッとしている彼女。
その間にお風呂にお湯を張って、有無を言わさず服を脱がせました。
絶対処女だろうけど少し意地悪な感じで「経験あるんでしょ?」と聞くと、なんと小さく頷きました。
心の叫び「えーーーーーーーーっマジかよ!?」
話を聞くと彼女、本当に処女じゃなかったみたいです。
高校の時にクラスの男子と言われるがままに1回だけしちゃったそうです。
自分の意思の無い子ってそうなっちゃうんですね。
その時にそれで自分が穢れ(けがれ)たと思い込み、そしてサタンの呪いに囚われたと洗脳されたようです。
その呪いを解くには真理を追求し、それで自分と世界を浄化するしかないという原理だそうです。
しかしその真理はまだまだ教えてもらえないのです。
それは多分いつまでたっても……
教会での立場は献金の額で決まります。
でも彼女のようなお金のない若者は無償で働くことが教会への忠誠であり信仰になるそうです。
さらに統●教会の教えで、処女でない未婚女性は穢れていることになるのです。
その穢れを浄化するため、コミュ障の女の子が朝から夕方までずっと四条通りに立ち、知らない人に話しかけるのです。
アンケートなどはまだマシな方で、人とまともに喋れないのにもかかわらず 珍味売りといって駅のお土産屋さんで売ってるようなおつまみを一袋2000〜3000円ぐらいで訪問販売までさせられていたりするのです。
そんなんお調子者の梶田でも無理ゲーです。
でも彼女は穢れている自分の魂を浄化するためと信じて頑張っているのです。
なんかそんな話を聞くと本当に彼女が気の毒になってきました。
ラブホで一緒にお風呂にまで入ったのに、結局何もしないまま出てきました。
統●教会の合同結婚式で女性信者は韓国人男性信者と結婚させられます。
でも本当に下っ端の日本の女性信者は東南アジアや南米の男性信者と結婚させられるそうです。
あれから30年。
あの彼女は今どうしているのでしょうか?
どこか遠い国の男性と結婚したのでしょうか?
幸せになっていたらいいのですが。
以上、梶田檸檬でした。